横浜を散歩しながらChatGPTと短歌を作ってみた

横浜公園

時間も暮れてきたので関内の方まで戻ってきました。
8月の横浜公園は毎年ビアガーデンをやっていて、設置されたLEDビジョンで横浜ベイスターズの野球の試合を見ることが出来ます。

長距離を歩いていたので足を休めるつもりで見ていきつつ、最後にここで短歌を作って締めにすることにしました。

投げられて 打たれた行方で 悲鳴湧く 恐れ慄け 俺がボールだ

我ながら、斬新な1首ができました。
もしボールから野球を見る視点があったとしたら、結構奇想天外な光景だと思ったんですよね。

というのも、このときも東京の神宮球場で行われている試合を横浜で見ていて、選手がボールを投げたり打ったりすれば、かたや歓声が湧き、かたや悲鳴が湧く状況なわけです。
でも言ってみればたかだか東京の真ん中にあるボールが数十から百何メートルの空間を行き来しているだけなわけで、ボールの存在感って一体何なんだと思い、この1首に繋げました。

もちろん最初はシンプルに以下から始まり、

夏暮れて ビール片手に 声弾む 夕涼みの夜 笑顔広がる

野球中継を見ているという視点が足りないので以下にしてみたり、

飛ぶボール 遠くの空を 越えてなお みんなの視線 追いかけてくる

みんなに見られるというのが、何かの罰に思えてきて形が作られてきて、

投げられて 打たれた行方で 悲鳴湧く 歓声浴びる ボールの罰よ

ボールは誰かに力を与えられて動くものでしか無いのに、ボール自身が何かを勘違いして王様みたいに振る舞っていたとしたら面白いなと思い、最初の1首が思いつきました。

ChatGPTと短歌を作ってみて

この散歩しながら短歌をAIで作る試みを通して、思ったことや良かったところを挙げてみます。

目的があるとインプットが増える

まずこれをやってよかったなと思うのは、AIどうこうというよりも、凄く良い散歩ができました。

今回は短歌という形でアウトプットすることを決めていました。
そのため、一つの風景に出会うと「何を主題にするか」「どの視点・切り口で詠むか」という考え方をして、普段の散歩よりも多くの情報を取り入れようとしました。

なにか目的を持っているとインプットが増え、その行動の質が上がる。
これは吟行の良さかもしれませんね。

「良い」という感覚についての再認識

当たり前といえばそうかも知れませんが、自分の琴線に触れるものが良いと思う景色なのだと思いました。

というのも、良い景色というものが外側にあるんじゃなくて、景色はただそこにあるだけ。
それを良いと感じるのは自分自身で、そう感じるということは、それが自分の記憶や思考、感情と結びついているからだと思います。

例えば、「夏は行く 船は港を 後にして また巡りくる 海原を越え」では、「季節と時間の流れ」が心の中で響きました。また、「行き先を 失くした階段 それでもね ここにあること 意味があるんだ」では、「役割と意味」について自分の考えが引き出されました。

「良い景色」と感じたのなら、それは自分の内側で何かが動いている証拠で、その動きを文字や画像、動画にして表現してみると、思いがけない発見があることもあります。
しかし、その「引っ張り出す」作業は簡単ではなく、自分との対話や内面に深く潜る必要があります。
今回はその過程を、ChatGPTのチャット欄で視覚化しながら進めていったように感じます。

「AIが使える」とは、一緒にアイデアを磨き上げられること

最後にAIについてですが、ChatGPTをはじめとする生成AIは、作りたいものが明確であればあるほど、精度の高いアウトプットを出せます。

「ここまで考えたら、あとは手を動かすだけ」という段階に到達していれば、その手を動かす作業は生成AIに置き換えられるのです。

だからこそ、本当に大変なのは「ここまで考えたら」の「ここまでの部分を考えること」だと思います。
これまでも重要だった部分ですが、これからはその「考える力」だけが求められる時代になっていく気がします。

ただし、「すべてを自分の頭で考えなければならないか」と言うと、そうではありません。
考えるプロセスそのものにもAIを活用できます。

「AIを使える」とは、やがて「AIで高品質な最終出力を出せること」だけを意味するようになると思います。
そして、そのためには明確で洗練された意図とアイデアが欠かせません。

すると、その明確で洗練された意図とアイデアを自分の頭で完璧に考え出せる人にならないといけないと感じるかもしれませんが、そうではありません。そのアイデアも、AIを使って少しずつ積み重ねていけば良いのです。

高い品質の出力を得るためのプロンプトのテクニックも存在するので、使えるものは積極的に活用すればいいですし、時間をかけて何度も試行錯誤しながら、少しずつアイデアを練り上げていっても良いと思います。
最初から完璧なアイデアを求める必要はありません。AIを活用しながら、自分の考えや思いと擦り合わせてアイデアを磨き上げられること、それが「AIを使える」ということであり、その結果として最終的に品質の高い出力ができるのだと思います。

終わりに

最初の記事だったので、なにか結論じみた事を言ったほうが良いかなと思いこのような記事にしてみました。
そしたらプロセスも、結論も言う、とんでもなく長い記事になっちゃいましたね。

でもシンプルな感想として、景色から短歌を作れるのは面白かったです。
手軽に作りやすいですし、その日に見たもの・あったことをより印象強く記憶に残すことができるように思います。
今後も、景色からAIを使って短歌を作成するということはやってみようかなと思っています。

単純にAIを使って作った短歌集みたいなものができても面白いですしね。
数を出していけば、自ずとAIに頼らなくても自分で短歌を作れるようにならないかなと期待もしています。

俳句のリベンジもしたいのですが、それは技術記事レベルになってきそうなのでまた追々。
それでは、また。

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