横浜を散歩しながらChatGPTと短歌を作ってみた

フランス領事館遺構

港の見える丘公園の展望台の手前にある、かつてのフランス領事館の跡です。
この遺構のうち、(今は)どこにもつながっていない階段には心惹かれるものがありました。

昇ったところでどこにもたどり着けるわけでもなく、ただ降りるしか無いもの。
ちなみにこのようなものをトマソンといって美術的価値を見出す視点があるようです。

ここで作成した1首は以下です。

行き先を 失くした階段 それでもね ここにあること 意味があるんだ

この1首を生み出すにあたり、私が考えたことは「役割がないものには意味がないのか?」ということでした。

ここを深堀りすると重たいテーマになりそうなので省きますが、この階段が物語るように「存在するだけで、十分に意味がある」と思ったんですね。階段が階段の役割をしていなくたって、それでもこの階段が示していること、語っていることって結構な情報量があると思ったのです。

ここではあまりChatGPTとやり取りをせずにこの1首ができました。
この場所の写真と同時に「役割がなくても生きていていい」という意味を含むように指示したところ、

どこへとも 続かぬ階も ただここに ありてよきかな 蔦の揺らぎと

という、少し古風な言い回しの短歌が返ってきたので、もう少し馴染みやすいように「現代的な言い回しにしてくれ」と返したらそれで完成形になりました。

ちょっと綺麗事過ぎて歯が浮く感じがしなくもないんですが、「それでもね」が優しくて良い言葉に聞こえるんですよね。また、「階段を昇ってもどこにも行けない」ということと、「階段としてもこの先は廃墟としての運命しか無い」ということが「行き先を 失くした階段」になるのも僕は好きだなと思って、この形を決めました。

山手80番館遺跡

港の見える丘公園から移動して元町公園にやってきました。

廃墟が連続しますが、今度は“山手80番館遺跡”という場所にやってきました。
これはマクガワン夫婦が住んでいたとされていたレンガ造りの建物の跡で、関東大震災で倒壊してしまったという歴史があります。

ここで出来た1首はこちらです。

崩れたる レンガの隙間に 光差し かつての暮らし 重なる木漏れ日

ここは先程と打って変わって苦戦しました。
というのも先ほども廃墟だったので、先ほどとは違うニュアンスを込めたいなと思いました。
その分、何を伝えたいかが最初の印象では全く思い浮かびませんでした。

ただ私はこの景色を見て、「木漏れ日が良いな」と思いました。
それから昔ここに住んでいた人もこの木漏れ日を眺めていたかもしれないなと考え、なにかそのニュアンスを含めないかと試しました。

この光 昔もきっと 見ていただろう 住まう人々 今と共有
崩れたる レンガの隙間 木漏れ日に 昔の住人 思いを重ね
崩れゆく レンガの隙に 光差し 昔の暮らし 木漏れ日に似て

上の句は段々と決まってきたのですが、下の句が決まらずここからさらに13首を費やしました。

最終的には一番最初に掲載した「崩れたる レンガの隙間に 光差し かつての暮らし 重なる木漏れ日」となるわけですが、納得できたかというとそうではなく妥協点という形でした。

今振り返ると、木漏れ日に焦点を合わせたいのならレンガが崩れている様子はもう少し端的にするか、省いても良かったように思います。ChatGPTは言われたことをそのまま遂行するので、この取捨選択の判断は人間側で行う必要がありますね。

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